聖書は世界で一番発行部数が多い本です。
1冊の聖書には旧約聖書パートと新約聖書パートがあり、旧約聖書はヘブライ語、新約聖書はギリシア語で書かれました。それが今では1000以上の言語に翻訳されているそうです。
日本人にとっては日本語の聖書が一番理解しやすいですが、母国語で内容を理解した上で、英語でも読むと、英単語の使い方、意味、文法なども理解できて一石二鳥です。 例文を挙げてみましょう。
ルカの福音書の8章22節からの部分で、イエス・キリストが弟子たちに、船をだし、ガリラヤ湖の向こう岸に渡ろうと言われる場面があります。弟子たちはそれに従うのですが、突風が湖に吹きおりてきて舟が沈みそうになります。そして弟子たちは・・・
The ①disciples went and woke him, ②saying, “③Master, Master, we’re going to ④drown!”
He got up and ⑤rebuked the wind and the ⑥raging ⑦waters; the storm ⑧subsided, and ⑨all was calm.
(Luke 8:24)
そこで弟子たちは近寄ってイエスを起こし、「先生、先生、私たちは死んでしまいます」と言った。イエスは起き上がり、風と荒波を叱りつけられた。すると静まり、凪になった。(ルカの福音書 8章24節)
①disciple [disáipəl]
(名詞)弟子
(語源)discipline [dísəplin] [名詞]しつけ、規律 [動詞]しつける
(類語) apostle[əpɑ́sl]
②saying
分詞構文(副詞的に文の情報を補足する分詞)で、動作が続くことを表す。
ここでは =and said と言い換えられる。
③Master
ここではMが大文字なので、「主、イエス・キリスト」の意。
④ drown [dráun]
(自動詞)溺れ死ぬ He drowned in the pond. (彼は池で溺れ死んだ。)
*drown は「溺れ死ぬ」こと。従って ’I drowned.’ という英語はありえない。
「溺れかける」は、 ‘almost drown’ か ‘He was drowning.
(他動詞)溺死させる He was drowned in the pond. (彼は池で溺れ死んだ。)
(特に食べ物に)必要以上にドレッシングやソースをかけること
The meat was drowned in a sauce. (その肉はソースでベトベトになった。)
⑤rebuke [ribjúːk]
(他動詞) 叱る、非難する
(名詞) 叱責、非難
*「叱る」 (研究者 ルミナス英和辞典より)
・rebuke
公式な立場で激しく厳しく非難することを意味する
格式ばった語
・scold
言うことを聞かない子供に対するときなど, 親や先生が
いらいらして非難すること
・reprimand
公式または正式に権威をもって非難すること
・reproach
失望して, あるいは愛想をつかして非難すること
・reprove
しばしばとがめ方が親切であって激しさがなく, 通常誤解を
解こうとする願いが込められた格式ばった語
⑥raging [réidʒiŋ]
(形容詞) 怒り狂う、荒れ狂う、途方もない、並外れた、〔伝染病などが〕猛威を振るう
(名詞 / 自動詞) rage 激怒、猛威、大荒れ / 怒る、荒れ狂う
⑦waters
’water ’は不可算名詞なので、「一杯の水」と言いたい時は’a water’ではなく、’a glass of water’と習ったはず。しかし、「海、湖、川、領海、海域」を意味するときは’waters’となる。
⑧subside [səbsáid]
(自動詞) 静まる、弱まる
The wind gradually subsided. (風が徐々におさまった。)
(‘sub’ = under) + (‘side’= settle)
⑨all (ここでは代名詞)
物事を指す場合は単数扱い、人を指す場合は複数扱い。
・All was calm. 上の聖書の例は、嵐(物事)がやんだのだから、単数扱いで動詞は’was’
・All were happy in the party.
(パーティーでは、皆が楽しくしていました。)
あの有名なクリスマスに歌われる賛美歌「きよしこの夜」にも’all’が出てくるが、物事を表しているので、
単数扱いで動詞は’is’。
Silent night, holy night
All is calm, all is bright
いかがだったでしょうか。たった2文で、学びどころ満載でした。